ちゃんちゃらをかし

いつでも女子について考えています

愛を証明する前に、やることがあるだろ?

お久しぶりです、そらちねです。

仕事したり仕事したり仕事してたらもう8月も下旬。
そんな中、息抜きではてブ見てたら、興味深いインタビュー見つけました。

藤沢数希/はあちゅう(伊藤春香) 第3回 結婚は愛情とは関係ない金銭取引の契約である<『ぼくは愛を証明しようと思う』発売記念対談 「恋愛ってなんだろう?」> - 幻冬舎plus

藤沢さんの言葉わかりすぎて、主題の恋愛工学自体は興味ないけど、どんな仕上がりなのか気になるので、本買ってみようかなと思った。あと、はあちゅうさんは何だかんだでピュアな女性なんだな〜としみじみ。

2015/07/21 13:53

ということで、有言実行。

読後、結構時間が経ってるんですが、「ぼくは愛を証明しようと思う。」買いました!ので、感想、まとめてみました。

ぼくは愛を証明しようと思う。

ぼくは愛を証明しようと思う。

 

 

とりあえず、所感。

一応小説区分のようですが、これは小説というより、『恋愛工学シミュレーションBOOK』という感じ。単純に小説と考えたら、ただのホラーじゃねーか……(唖然)っていうのが正直な感想です。

 

以下、ネタバレ注意。あと、色々かなり雑です。

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結局、ありのままの自分を愛してほしくてたまらない話

大雑把にまとめると、女に振り回されてた男が、恋愛工学を使ったら、女に振り回されなくなったから、次は愛を証明してみせるぜ!藤沢先生の次回作にご期待ください!という感じ(雑)。ありのままの僕をおびやかさずに愛してくれる女子見つけたから、この子に決めた!っていう、彼の中のマイナスがゼロに戻っただけの話です。

これだけ見たら、それこそアナ雪のエルサが主人公みたいな話かと思うじゃないですか。結局エルサって「自分の能力に振り回されてた女王が、能力を制御できるようになって、女王としての業務を滞りなく行える状態になった」っていうマイナスからゼロになったキャラだし。

それがなんで『ただのホラーじゃねーか……』って思ったかというと、主人公の「わたなべ」くんが、「生きる屍」のまま、「何も始まらず終わりもしなかったから」です。

 

生きる屍とは

まず、主人公「わたなべ」くんの最大の問題は、「モテない」ことではない、ということ。そしてそれを、本人か気付いていないこと。

彼は、究極を言ってしまえば、「したい仕事もなく、どうやって生きていきたいか、自分の生き甲斐は何かを知らず、ただ毎日を消化して生きているけど、女が自分を好きになってくれないコンプレックスと性欲だけはある」状態。

これが、生ける屍、と思った理由です。

いやでも、そんな彼がモテ男永沢さんに出会って、モテたい、という分かりやすく明確な目的を得て、恋愛工学使って、非モテがモテ男になるっていうサクセスストーリーじゃん?って言われるのは分かってます。でも、最後まで読んだら分かると思うんです。実は、わたなべくんって、不特定多数の女性から「モテたい」わけじゃないってことを。

わたなべくんの本当の欲望は、「自分の愛情を誠実に受け止めてくれる女性を手に入れたい」ってところで、それを手に入れるためには「モテた方がいい」ってだけなんですよね。

 

そして何も始まらず、終わりもしない。

だから最後に、自分を「裏切らなさそうな」一人の女を得て、彼の願いは叶ったかもしれません。でも、わたなべくんは自分の本当の欲望に気付いていないから、永沢さん相手に愛を証明したいとかぶち上げたその舌が乾かぬ内に、恋愛工学で学んだ女を得る方法を、どうでもいい女にそのまま使い続けるという怠慢をラストで繰り出してくる。

いやもうほんとこれ、ゾッとしましたわ。

価値観が変わるわけでもなく、自分の本当の欲望に気付くでもなく、人生の目的を得たわけでもなく、自分の女に誠実さや労働力や金銭の力、何でもいいけどわたなべくん自身が持つ力を使って、彼女の人生を豊かにするような貢献を行おうという予兆もない。

何も始まらず、終わりさえしない停滞感。わたなべくんの本当の欲望も、問題点も、全く何も自覚しないし解決しない、恐らく彼はこのまま人間的には成長せずに生きて死ぬんだろうと思わせる残念感。

やっぱり、ただのホラーじゃねーか……(唖然)

 

なぜ、わたなべくんが主人公なのか?

正直、小説としての面白さを追求するなら、永沢さんを主人公にすればよかったんですよね。永沢さんの台詞が出てくるたび、恋愛工学を自分のものにする過程を描くだけでドラマになるよなーとしみじみ思いましたもん。「売り物なのは俺たちの方だ」なんて境地に至れる人、なかなかいない。

だからこそ「わたなべくん」が主人公なのかな、と。

これほんまかなりの偏見入ってる自覚と自信ありますけど、正直、恋愛工学を有り難がる層って、自分の生き方とか人生観以前に、「モテ」という言葉に苛まれながら性欲を持て余してるんだろなーという印象がありまして。

具体的に言うと、取りたててやりたい事もなく、どうやって生きていきたいか、自分の生き甲斐は何かを知らず、ただ毎日を消化して生きている、そんな自分に魅力(モテる能力)があると思えないけど、魅力があると言ってくれる人どこかにいないかな、できれば可愛い女子、っていう、白馬の王子様ならぬユニコーンの乙女を探している内に、生身の女の生態を知らず、気付いたらリアルを謳歌してきた人達との隔たりを(勝手に)感じて、コンプレックスを形成した後、自分から「非モテ」レッテルを貼ってしまって後戻りできなくなったけど、そんな俺だって普通の恋愛(という名のセックス)したい!みたいなイメージ。

で、そういう人たちが一定層存在するから、ちょっと知恵の回る人が、『とりあえず「非モテ」という価値観からの解放されようや、冷静になったら意外と簡単やし』ってことをまとめてみました(ついでに金稼ご)、っていうのが恋愛工学に対する勝手な解釈です。

かなり偏ってるなーと思いますが、その前提で考えると、私個人としては、主人公がわたなべくんであることに納得はできるんですね。

だって、永沢さんの考え方、実践の果てにたどりつくもので、まだ何も始めてない初心者にはハードル高すぎるから。

 

ということで、恋愛工学シミュレーションBOOKと思って読もう

つまり、この本は、小説の体裁ではあるものの、「自分に魅力がないと思っている男でも、恋愛工学を使えばモテる(ヤレる)」ということをアピールするための本で、そういう意味では、初心者をやる気にさせる具体性には富んでいるので、恋愛工学試してみたいなって人にはおススメできるのではないかと思います。

ただ一点、お伝えしたいのは、これで恋愛工学に目覚めて、女にモテる(ヤレる)ようになったからといって、あなたが本当の意味で人を引きつける魅力を手に入れられるかどうかは、あなた次第だと思いますよ、ってこと。

というのも、この本を読んで「ただのホラーじゃねーか…」って思った通り、恋愛工学に、非モテコンプレックスを解消する以上の可能性が見えないんですよね。ていうか、非モテコンプレックスでうだうだ言って、女にモテたいとかフカす前に、普通に性別関係なく友達100人作った方がいいんじゃねーの?と思うわけで……人間を人間として扱って、相手の考えを適切に把握して大切にするっていう行為ができれば、彼女欲しいなって思ったら友達が紹介してくれるだろうし、非モテとか気にならなくなるんじゃねーの?という気持ちがですね…いやまぁ、恋愛工学というか永沢さんも作中、相手の気持ちを考えろ的な、同じようなことを仰っていると思うんですが、なんかわたなべくんって最後までそれをきちんと咀嚼して理解に至ってる節が見えないんだよなー。ただルーチンこなしてレベル上がった気になっているというか。自分に酔ってるというか。正直、わたなべくんが実在したら、絶対付き合いたくない(あっちもそう思うだろうけど)。そもそも、愛を証明する前に人間力磨けや!!としか思えないという結論。ちなみに、私の周囲のモテないから困ってる(知らねーよ)案件相談してくる成人男性は、女性に優しくしないとモテないって思っている人結構いるんですけど、女性というか人に優しくする(相手を不快にさせないような人間関係を築く)のって社会人として最低限のスキルだからそもそもそれ意識してる時点で、永遠に女に人間扱いしてもらえないよ…だってあんたが相手を人間扱いしてないじゃん…と思いますが、わたなべくんって最初から最後まで、女を人間と思ってなさそうだよね。愛を証明するとか言いながら、恋愛工学以上のコミュ力向上活動行おうという予感しないし。いやもうほんとそういう最高に愚鈍で怠惰なとこ、わたなべくんのこれからの人生に幸あれ…!って願わずにはいられないよね。

しかしやっぱり、真のモテに必要なのは人間力、やなぁとしみじみ思いました。男性に限らず女性もそうだし。何より、心底、自分が女版・わたなべくんにならないよう気をつけて生きていきたい!!!

 

 

以上、最後はわたなべくん叩きまくってしまいましたが、わたなべくんの幸せを願ってるのはほんまやで……なんでかっていうと、こういう不安定な人種が周りにおるとすげー迷惑被ることあるからさっさと幸せになっておいてほしいという理由です(非道)

ていうか、もう最終何言いたかったかって、今後わたなべくんと関わる女性が幸せになれる構図が全く見えないまま終わったの、どうあがいても絶望しかないんですけど、なんでこんなにも希望の光見えないまま締めたんですか藤沢せんせい……ってことなんですよね。私の読解力が追いついてないなら本当に申し訳ないので、もし「ここ読んだらわたなべくんの人間的成長への希望出てくるで!」ってポイントあったらマジ教えてください………!!!女子を愛する身としてはこの本のオチはつらい~~いやでもこのオチってことは、恋愛工学をただこなすだけじゃダメだよ、自分のやり方を見つける力をつけないとお先真っ暗だぞ、っていう藤沢先生からのメッセージでもあるのか??(邪推)

 

あ、あと、永沢さんのことも書きたかったんですけど、わたなべくんが残念すぎてもう永沢さんはとりあえずOK、色々気になるところはあるものの永沢さんは総合的には悪い男ではないしそのまま仕事がんば!!ってなる、わたなべくんの残念力な。

わたなべくん頼むからいい男になってくれよ~~~・゚・(ノ8`;)・゚

 

ということで、雑な上偏りまくった感想とは自覚しておりますが、書きたかったから書いた!後悔はしていない!!

はい、お粗末~~~\(^8^)/